便秘の分類と薬物療法
機能性便秘
痙攣性便秘(過敏性大腸症候群)
大腸の壁が痙攣するため細くなり、便の通過が困難になる
原因
- 通常人より敏感な腸
- 精神的ストレス(不安緊張)
- 刺激性食物の摂取
薬物療法
- 酸化マグネシウムと膨張性下剤の併用
- 必要に応じて鎮痙剤
弛緩性便秘(単純性便秘)
流動食であったり、運動減退などで腹圧をかけること出来ず症状のないのが特徴
直腸性便秘(弛緩と混合型あり)
便意を無理に抑える習慣が続くと便意が起こりにくくなり、便は直腸にたまる
原因
- 特発性
- 下剤や浣腸の乱用
- 老人、無力体質
- 病臥、衰弱
- 旅行
- 妊娠、腹水、卵巣のう種などの腹部腫瘤、慢性肺疾患(肺気腫など)
- 精神作用:うつ状態、恐怖症
- 便意の抑圧:多忙、トイレの不備
- 不適当な体位
- 繊維の少ない食事
朝食をとらない習慣
薬物療法
- 酸化マグネシウムと膨張性下剤の併用
- 必要に応じて潤滑性下剤の併用
- 機能性巨大結腸症の傾向にあるときはビタミンB剤、自律神経剤、消化器機能改善剤の併用
- やむを得ないとき刺激性下剤(センナ・大黄)を使用するが、連用は避ける
※注意
腎機能不全患者への酸化マグネシウム、また、狭窄患者への膨張性下剤の使用はしてはならない
器質性便秘(症候性便秘)
大腸の壁が痙攣するため細くなり、便の通過が困難になる
原因
- 搾取:大腸癌、憩室炎、癒着、ポリープ、他臓器よりの圧迫など
- 有痛性肛門疾患:痔核、裂肛、痔ろうなど
〈大腸疾患以外の器質性便秘〉
- 代謝障害:粘液水腫、ポルフィリン症、鉛中毒、低カリウム血症など
- 薬物性:抗コリン剤、アヘンアルカロイド、麻酔剤、フェノチアジン、水酸化アルミニウムなどの制酸剤、節遮断作用を有する降圧剤、抗うつ剤
- 神経障害:脊髄損傷、脳硬塞、パーキンソン病、糖尿病
薬物療法
- 原因療法
- 機能性便秘に準じ対象療法
(参考文献:薬物療法の実際 第3版 山村雄一、織田敏次、五島雄一郎、清水喜八郎)